新たに「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施します
~関係団体などと連携した職場における熱中症予防対策を5月から実施・平成28年の職場における熱中症による死傷災害の発生状況(速報値)を合わせて公表~
●STOP!熱中症 クールワークキャンペーンの実施
厚生労働省では、労働災害防止団体などとともに、職場における熱中症予防対策の一層の推進を図るため、平成29年4月を準備期間、5月から9月までを実施期間とする「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を新たに実施します。
職場における熱中症は、猛暑だった平成22年以降400人から500人で推移しており、減少傾向がみられません。また、死亡者数は、多い年は30人を超えるなど、平成24年から28年までの5年間で80人を超えています。
職場における熱中症を予防するためには、単に個々の労働者に水分・塩分の摂取を呼びかけるだけではなく、事業場として、予防管理者の選任などの管理体制を確立することが必要です。また、WBGT値(暑さ指数) ※1 を測定し、その結果に基づき、熱への順化 ※2 期間の確保、作業場所のWBGT値の低減、休憩時間の確保、熱中症の発症に影響を及ぼす疾病を有する労働者への配慮などの対策を確実に講じていくことも必要です。
厚生労働省では、今回のキャンペーンを通じ、これらの対策の徹底を図り、職場における熱中症による労働災害の大幅減少、特に死亡災害ゼロを目指します。
(※キャンペーンの内容については、次ページおよび別添資料1を参照ください)
●平成28年の職場における熱中症による死傷者の状況(速報値)
昨年(平成28年)の職場における熱中症による死亡者は、1月末の速報値で12人と、前年の確定値29人より17人減少しましたが、死傷者(死亡・休業4日以上)は462人と、前年の確定値464人とほぼ同数となっています。(別添資料2参照)
※1 WBGT値とは、 気温に加え、湿度、風速、輻射(放射)熱を考慮した暑熱環境によるストレスの評価を行う暑さの指数。
※2 熱への順化とは、 夏などの暑い時期に、作業時間を数日以上かけて次第に長くし、体を熱に慣れさせること。
■ 背景とキャンペーンの概要
1 職場における熱中症の発生状況
第12次労働災害防止計画(H25~H29)※1では、職場における熱中症について、その前の第11次労働災害防止計画(H20~H24)の5年間と比較して、死傷者の数を20%以上減少させる、との目標が設定されています。しかし、平成29年1月現在の速報値までで1,879件となり、既に第11次労働災害防止計画の5年間の発生件数である1,948件の95%に達し、あと1年を残して、目標件数の目安となる1,558件を超えてしまっている状況です。
平成24年 |
平成25年 |
平成26年 |
平成27年 |
平成28年※2 |
|
熱中症による 死傷者数 |
440 |
530 |
423 |
464 |
462 |
うち死亡者数 |
21 |
30 |
12 |
29 |
12 |
※1 第12次労働災害防止計画: 労働災害を減少させるために国が重点的に取り組む事項を定めた 5か年 計画(平成25年度から平成29年度)
※2 平成 28年は平成29年1月末現在の速報値
2 キャンペーンの主な取組
これまで各団体で個々に実施されていた、職場における熱中症予防対策の取組について、相互に連携を図り横断的な対策の推進を図るため、今回のキャンペーンでは、別添資料1の実施要綱による取組の促進を図ります。主な取組は以下の通りです。
(1)労働災害防止団体等との連携
関係業界の取組の促進を図るため、各業種別労働災害防止団体、全国警備業協会、労働安全衛生の専門家である日本労働安全衛生コンサルタント会との共同の主唱で実施します。
(2)関係業界団体などに対する要請・事業場などに対する周知
熱中症予防対策の重点業種をはじめとした関係団体にも会員事業場への周知を要請します。
(3)取組を支援するための情報提供(特設サイトの開設)
厚生労働省のホームページ「職場のあんぜんサイト」内に、特設サイト「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を開設する予定です。このサイトには以下のような情報を掲載し、職場における熱中症予防対策を推進します。
・熱中症予防対策や好事例の紹介
・熱中症予防対策をより深く知るためのセミナー、教育用教材の紹介
・熱中症による労働災害発生状況、災害事例の提供
(4)協賛団体による支援
今回のキャンペーンの協賛団体により、有効な熱中症予防関連製品や日本工業規格(JIS)を満たしたWBGT値(暑さ指数)測定器の普及促進を図ります。